夏の音楽祭
アメリカの音楽学生は、夏の間は音楽祭に参加するのが鉄板です。
ヨーロッパは講習会、セミナーのような形が多いですが、アメリカは8週間、6週間、3週間×2タームとか期間が長めです。
特に、弦楽器の子たちは夏の間、いくつかの音楽祭をハシゴすることが多く、ピアノの子もアメリカ国籍の子たちは特に、毎年行っているかなあと感じます。
アメリカの音楽祭は大体3つのカテゴリー、室内楽系、オーケストラ系、ピアノソロ系に分けることができると思います。
私は、その中でピアノソロの音楽祭に2年連続行ってきたので、その感想とやらを書こうと思います。
私が2022年の夏に行ってきたのは、Gijon International Piano Festivalという音楽祭、以前から行きたかったのですが、コロナで3年ぶりの開催でした。スペインのヒホン(Gijon)という海街で行われるアットホームなピアノフェスティバルです。ファカルティは全員アメリカの学校からで、生徒もほとんどがアメリカの学校で学んでいる子たちなので、スペインで行われるアメリカの音楽祭という感じです。
学びの多さやファカルティのレベルの高さ、またヨーロッパのきれいな街に久しぶりに行くことができて素敵な環境の中で勉強することができたことなどあわせて、星5つの満足度でした。
この音楽祭は、送迎もなし宿泊は自己手配、有名な夏のヴァカンス地ですからホテルの宿泊料金は高額です。主催者が受講者の名簿を共有してくれるので、Airbnbを一緒に借りてくれるルームメイトを探して(全員のメールアドレスに一斉メールを出しました笑)、初対面、国籍も違う女子3人で、3部屋あるアパートを自分たちで借りました。
一緒にグループを組んだ2人とはとても気が合い、長く続くであろう友情ができました。
2022年夏は、カフェテリアがコロナの影響で利用できなかったので、外食もしくは自炊、スーパーで食材を買ってサンドイッチなどを持っていって練習していましたが、夜ご飯を家で食べる日は、ルームメイトにハンバーグを作ってあげたりなどもしました🤩
ヒホンの街は、建物や景色などどこを切り取っても美しく、食べ物は安くて美味しく、とても癒やされる小旅行にもなりました。
たった1つ苦情があるとすれば、練習室が、レッスン室以外はアップライトもしくは電子ピアノなので、グランドピアノ争奪戦でした。
しかし割りと音楽祭はそういうところが多いので、最近では、アップライトピアノしかなくてもきちんと音を聴いて練習できるようになってきたと思います。
グランドピアノとはタッチが少し違っても、耳で自分の求める音に調節していれば、どんなピアノでも練習はできますし、どんなピアノにあたっても大丈夫なのではないかなと思います。もちろんそれに対応できるテクニックは必要になりますが...
レッスンの方は、名前を見れば誰もが知っている大御所の先生ばかりで、私が弾いている曲や弾き方に対してのアドバイスの鋭さに感服してばかりでした。私も50年教えたらこうなることができるのだろうかと思いながらレッスンを受けていました。
期間中には、成績優秀者の選抜演奏会が何回かあります。ある日突然メールで集合時刻の連絡があり、バスに乗せられます。バスに揺られて一時間ほどの街での屋外コンサートで演奏しました。出演者全員、当然MCをしてくれるスタッフさんがいるだろうと気楽にバスに揺られてまた違う海街に着くと、そこに送られたのはまさかの私たち出演者だけで(笑)、皆でGoogle翻訳を駆使してMC、自己紹介を見事なSpenglish (Spanish + English)で行ったのも良い思い出です。
街中でピアノの演奏が聴こえると、老若男女が立ち止まり耳を澄ませる姿に、ああ流石ヨーロッパだなあと感じました。
練習の合間やコンサート終了後、音楽祭終了後に発つまでなどは、地元で有名な海鮮レストランに行ったり、ビールを皆で買って砂浜で飲みながら話したり、アイスクリームやチュロス(スペイン名物!)を毎日のように買いに行ったり、楽しい思い出もたくさんできました💃🏻
音楽祭の前後には一人旅、マドリードに一泊、バルセロナに二泊してスペインの都市も満喫してきました。(その様子はまたの機会に!)
次は、今年参加したテキサスの音楽祭について書こうと思います。